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現在、ベトナムからは多くの人材の受け入れを行っています。そこで介護現場においてベトナム人の人材を受け入れるための制度や条件、そして雇用する上で知っておきたいベトナムの文化や宗教、国民性や注意すべきポイントについてまとめました。
介護福祉士資格の取得を目的とした受け入れを行うための制度です。3年制または4年制の看護過程を終了していること、また日本語能力は現地で12ヶ月研修した後、日本語能力試験N3以上の合格で入国。入国後は2.5ヶ月の研修が必要です。
日本で技術や知識を学び、帰国後に母国の発展に生かすために実習を行う制度です。入国時は日本語能力試験N3程度(N4以上が要件)、入国から1年後にはN3以上が要件となります。また、介護経験等に関しては、外国で同等の業務へ従事した経験があることなどの要件があります。
介護福祉士養成学校に留学し、介護福祉士資格を取得すると在留資格「介護」を取得できます。養成学校に入学する際、日本語能力試験でN2以上に合格または日本語教育機関で学習(6ヶ月以上)し、日本語試験でN2相当以上、との要件があります。
特定の14業種において、人材不足を補うために導入された在留資格です。入国前の試験において、生活上支障がない提訴の日本語能力と、介護現場で働く上で必要な日本語能力が求められます。また、介護技術に関しては受け入れ業務において適切に働くための水準に達しているかを試験で確認されます。
各資格の詳しい解説については、以下ページにてまとめています。
さまざまな特徴を持つ国・ベトナム。ここではどのような特徴を持つ国なのかをご紹介します。
ベトナムは南北に長い国で、その中には54の民族が暮らしていますが、都市部を中心に「キン族」が大多数を占めています。キン族が使用する言語がベトナム語と呼ばれており、公用語として使用されています。
2018年のベトナムの平均年齢は31歳と非常に若い人が多い国です。そのため、働き手やこれから国を担う子どもたちが多いことが特徴といえます。
ベトナムではダブルスクールに通っている人が多いことも特徴です。向上心や向学心が旺盛で、文化や科学、技術分野などでめざましい活躍をしている人も多くいます。小学校入学前から英語教育を始めるなど、教育熱心な人も多いことでも知られています。
ベトナム人を雇用するにあたり、どのような国民性を持つのかはぜひ知っておきたいところです。
海外への就職希望が多く、中でも日本を希望する割合が高くなっています。これは、日本に親しみを感じる人が多いため。このことから、日本で雇用したはいいがやる気がない、といったことはほとんど無いといわれています。
ベトナム人はシャイなところがあるといわれています。そのため、打ち解けるまでには時間がかかるものの、慣れると人懐っこく、親しみやすい傾向があります。
ベトナム人は、家族を非常に大切にします。ベトナム人がまず優先するのは家族。そのため「仕事のために家族を犠牲にする」ことはほとんどないようです。家族へ仕送りをするために日本に働きにきている人も少なくありません。また、お年寄りに親切にする習慣が根付いていることも特徴です。
ベトナム人の多くは仏教徒ですが、信仰が薄い人がほとんどで、熱心な仏教徒は約1割程度。次いでカトリック、ベトナム発祥の宗教であるカオダイ教、プロテスタント、ホアハオ教と続きます。さらに、わずかにヒンドゥー教やイスラム教を信仰している人もいます。
中国とインドから仏教が伝来して以来、ベトナムの伝統と混ざり合うことで独自の文化が形成されました。倫理や哲学、文学、建築、彫刻などにさまざまな影響を与えてきたといわれています。
ベトナムでは現地通貨として「ドン(ベトナムドン)」が使用されており、ベトナム国内だけで利用される通貨として認知されています。
円とベトナムドンの為替レートは、1円あたりおよそ222.72ドン(2021年1月20日時点)となっており、また全体的な物価で見ればベトナムの物価は日本のおよそ3分の1となっていることが特徴です。
東南アジア経済においてプラス成長を続けているベトナムは、2020年の世界的な混乱においても前向きな状態を維持しており、諸外国との貿易や海外企業のオフショア開発などによって大きな発展を遂げました。
しかし、一方で国内のインフラ整備が追い付いておらず、都市部と農村部などで発展度合いに大きな違いが生じていることも事実です。
そのため、ベトナムは物価の安さや地域間格差などが相まって、労働者の賃金が安い国だとされています。ただし、それでも2012年以降は労働者の賃金体系が向上しており、ITエンジニアなど活躍の場を与えられている職種においてはベトナム国内でも比較的好待遇になっていることは見逃せません。
言い換えれば、ベトナム国内において高所得者として活躍できる技能やスキルを有していない労働者にとって、日本や他国へ出稼ぎ労働者として向かうことは自然な流れの1つといえるでしょう。
ベトナムでは国民の最低賃金を定めているものの、その額は地域ごとに異なっており、例えば2020年1月からの最低賃金は、ハノイ市やホーチミン市といった地域1で442万ドン、最も安い地域4で307万ドンとなっています。
これは日本円に換算すると、ハノイやホーチミンであっても月収2万円未満という状態になっており、地域4では月収およそ1.3万円程度という現状です。
物価が日本のおよそ3分の1とはいえ、賃金の額が大幅に低いことは事実であり、相対的に考えれば日本で外国人介護士として働いて稼ぐ方が効率的と考えられます。
もちろん、ベトナム人が日本で外国人介護士として好待遇を受けようと思えば、相応の知識や日本語能力といった技能が必要であり、その教育などにかかるコストが投資として必要となります。しかし、ベトナム人が日本で外国人介護士として働き、適正な賃金を得ながら専門スキルを修得できるとすれば、投資に対するリターンは決して小さくないといえるでしょう。
※参考サイト:JETRO「2020年の最低賃金を公布、平均引き上げ率は5.5%(ベトナム)」https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/11/95cbe9af10177409.html)
ベトナムでは都市部の発展がめざましい反面、未だに全人口のおよそ6割が農村部に居住しており、貧困層の比率が農村部へ集中していることが社会問題として上げられています。また、都市部においても成功している層とそうでない層の差が明確化していることもポイントです。
さらに、経済的格差に加えてベトナムでは徐々に高齢化へ社会が進んでおり、医療面や介護面でも今後の対策が注目されていることも見逃せません。
経済的格差に相関するように、医療環境や教育レベルの格差も表面化しており、今後のベトナムにおいて高齢者や若年層へ社会全体でどう向き合っていくかが重要になっていくことは必然的でしょう。そのため、ベトナムの将来にとって医療や介護・福祉の専門スキルを持つ人材は魅力的であり、ベトナムが日本とEPAを締結するといった流れの理由にもつながっています。
※参考サイト:山崎尚美,他「ベトナムにおける高齢者ケアの実態と課題-ハノイ市およびホーチミン市の高齢者ケア施設及び看護系大学の視察報告-」(https://core.ac.uk/download/pdf/234676444.pdf)
ベトナム人と一緒の職場で働く際には、その気質や性格の傾向から気をつけておきたいポイントがいくつかあります。
ベトナム人は、時間や成果の見積もりが苦手、という傾向があるといわれています。この点は仕事の上では気をつけておきたいポイント。例えばある仕事を任せたものの、締め切りを守れないといったケースが挙げられます。
これは、ベトナム人が自分の感覚で物事を決める傾向によるもの。そのため、ベトナム人と一緒に働く場合には、少し時間に余裕を持つと良いでしょう。
ベトナム人はプライドが高い人が多い、ともいわれています。そのため、指導の際には配慮が必要。他の人と比較されたくない、失敗したくない気持ちが強いため、例えばミスを指摘する際は他の人がいないところで、注意する場合は他人と比較しないといった配慮をしましょう。
ベトナム人介護士は、日本の介護士国家資格試験の平均合格率を大幅に上回るほど優秀な人材とされており、大切な要介護者をケアする業務において重要な戦力として位置づけることができます。
ただし、非漢字圏ならではの問題もあり、ベトナム人介護士の能力を十分に発揮するためにも、ベトナムでの介護人材育成状況についてきちんと理解しておくことが必要です。
日本政府は外国人留学生の受け入れ強化を政策として掲げてきましたが、令和元年度のベトナム出身の留学生(73.389人)は、第1位である中国人留学生(124.436人)を除けばアジア諸国でトップであり、第3位のネパール人留学生(26.308人)と3倍近い差をつけています。
このことからも分かる通り、ベトナム人の学生や労働者にとって日本は重要な場所となっており、日本とベトナムの両政府も経済連携協定(EPA)を締結して、積極的な訪日・来日を推奨していることは重要です。
また、ベトナム政府が主体となって日本への進学や技術習得を支援している上、民間企業間の交流や地方自治体とベトナムの各都市との姉妹提携といった動きもあり、ベトナムは国全体で日本を訪れて活躍できる人材育成の環境が整っているといえるでしょう。
※参考資料:独立行政法人日本学生支援機構「2019(令和元)年度外国人留学生在籍状況調査結果」(https://www.studyinjapan.go.jp/ja/statistics/zaiseki/data/2019.html)
非漢字圏として留学生数が第1位のベトナムですが、一方で非漢字圏だからこそ、日本語の習得において困難さを感じているベトナム人介護士や留学生も多いとされています。
しかし、そもそもベトナムには優秀で勤勉な人材が多く、適切な学習環境や支援体制を整えてやれば、きちんと日本語能力を伸ばしていける期待があります。また、ベトナムとのEPAでは、日本語能力試験N3を介護士候補者の入国要件として定めており、日本語能力に不安があるからこそ、十分な人材をベトナム国内で育成した上で送り出そうとされている点も重要です。
結果的に、外国人介護士候補者として来日しているベトナム人は、高いレベルでモチベーションを維持している場合が多く、受け入れ施設にも相応の心構えが求められることは重要です。
※参考資料:WEDGE Infinity「日本語学校の教育の質の担保を」(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/14634)
タイのタンマサート大学が発表した、東南アジア諸国の平均知能指数(IQ)に関する調査データによれば、ベトナム人の平均IQは東南アジア諸国でシンガポールに次いで第2位となっており、ベトナム人は本質的に東南アジアの中でも高いポテンシャルを備えていることが分かります。
また、全世界の平均値と比較してもベトナム人のIQは大きく上回っており、ベトナム人の優秀さは、有能な外国人介護士を戦力として期待する介護施設にとっても魅力的なポイントです。
※参考資料:VIET-JO「東南アジアの平均IQランキング、ベトナムは2位」(https://www.viet-jo.com/news/statistics/140624041623.html)
厚生労働省の発表によると、第32回介護福祉士国家試験において、EPAにもとづいて日本で外国人介護福祉候補生として働いていたベトナム人の合格率が、90.8%という高い数値を誇っていたことが分かりました。
特に、初受験のみで見ればベトナム人受験者の合格率は92.8%となっており、2018年の第1期生の合格率(93.7%)から高い水準を継続しています。
一方、第32回介護福祉士国家試験の層受験者数は約8万4千人で、合格率は69.9%となっており、合格率だけで見ればベトナム人介護士の能力水準は日本人介護福祉候補生と比較しても大幅に高いことがポイントです。
※参考資料:VIET-JO「日本の介護福祉士国家試験でベトナム人138人が合格、合格率90.8%」(https://www.viet-jo.com/news/nikkei/200330153530.html)
EPA全体の受験者で見ても、全合格者の中でベトナム人の合格者数は約41%となっており、ベトナム・インドネシア・フィリピンの3カ国の中で最も高い数値を誇っています。
これは、ベトナムにおける介護人材育成状況が良好なことに加えて、各ベトナム人介護士の意欲が高いことも理由として考えられます。
人手不足など、さまざまな理由により外国人介護士を雇いたいと考える事業所も多いことでしょう。そのためには、まず雇用制度について知っておくことが大切です。
どのような目的のある制度なのか、またどんな注意点があるのかは制度によって異なりますので、雇用する目的によりどの制度を利用するか選択することが必要。そのため、ポイントをおさえ、各制度の特徴について確認しておくことをおすすめします。