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外国人介護士の雇用で懸念される問題

外国人介護士を受け入れることで、日本人スタッフとの間に起こりやすい問題についてまとめています。

あらかじめ備えておきたい外国人介護士との問題&課題

気候について

日本には四季があり、1年を通じて寒暖差が激しくなります。暖かい国から来日した外国人介護士にとっては、慣れない環境と気候の変動が体調を崩すきっかけにもなりかねません。十分に配慮したうえで接しましょう。

文化について

言われて傷つくこと、されると嫌なこと、トラウマになっていることなど、日本人の間でも異なることを考えれば、外国人介護士との間でも配慮が必要なのは当然。お互いの国の文化を理解せずに傷つけてしまうこともあるでしょう。外国人介護士を受け入れるにあたって、文化や思想に対する理解は欠かせません。

言葉について

日本語の習得が不十分なことから、「小さな違い」や「誤解」にもかかわらず、上手く説明できないことで「事故」に繋がる可能性もあります。日頃からコミュニケーションをしっかりとって意思疎通を図る心がけが必要です。外国人介護士の受け入れ制度によっては、一定の日本語レベルを習得した外国人介護士を迎え入れることが可能。外国人介護士の受け入れを検討しているなら、まずは制度について理解を深めましょう。

文章の記入が必要な業務について

日本人は赤ちゃんのときから日本語に触れているので、当たり前のように日本語を話したり、聞いたり、書いたり、読んだりすることができます。しかし、外国人はそうはいきません。努力を積み重ねて、言葉を学んでいます。日本語で聞いたり話したりすることはできても、書いたり読んだりすることが苦手な方もいるでしょう。

日本人職員ならちょっとした時間を見つけて書くことができるような内容も、思いの外、外国人職員にとっては時間がかかってしまう場合もあります。急かすのではなく、適切なフォローでサポートしましょう。

時間について

外国と日本では、時間の感覚が違う場合もあります。暗黙の了解で済ませるのではなく、例えば開始時刻5分前に着手した方がよい作業などはしっかりとその意図を伝えることが大切です。

食事について

外国人介護士によっては、宗教上、食べられない食事があるかもしれません。事業所によっては、利用者とのコミュニケーションをより円滑にするため、職員が利用者と同じ時間に昼食などをとりながら介助する場合もあるかもしれませんが、宗教の面で食べられないものがないかはあらかじめ確認しましょう。

ミスをしてしまった場合の指導について

母国では叱られる経験がなく、大勢の前で叱られることで極端に自信をなくしてしまう方もいます。一対一で話した方がスムーズにいく場合も。

休日について

信仰する宗教によっては働いてはいけない日、休まなければいけない日が存在する場合もあります。信仰を大切にする方が長く働きやすい環境にするためには、適切な配慮を心掛けましょう。

帰国について

せっかく外国人介護士を受け入れて、実際に活躍してもらっていても、いずれ帰国されてしまう可能性があります。しかし、長く働いて色々な経験を積んでいる外国人介護士ほど、できれば帰国せず日本にずっと定着してもらいたいと考える人は多いでしょう。そのため、制度的な強制帰国を回避できるよう、様々なサポートも必要です。また、優秀な外国人介護士が自らの意思で母国へ帰ってしまうリスクについても対処しなければなりません。

差別について

外国人介護士を受け入れるに当たって、人種や国籍、宗教などに起因する差別は、企業的にも社会的にも必ず回避しなければならない問題です。しかし、相互理解が不充分なまま外国人介護士を受け入れてしまい、さらにその後も適切なフォローを行わなければ、外国人介護士を失うだけでなく、他の施設職員や入居者に大きな悪影響を与えるリスクもあります。どのようなことが差別に当たり、何を注意すべきか、事前に考えておきましょう

宗教について

日本人が思っている以上に、強い信仰心を抱いていたり、宗教が生活の一部になっていたりする外国人は多くいます。そのため、外国人介護士を受け入れる場合は、彼らの宗教観や信仰心に対する配慮も必要です。ただし、国や個人によって信仰する宗教が異なったり、地域や宗派によってルールが異なったりすることもあり、特定の宗教について学んだからといって、それが必ずしも全ての外国人介護士に当てはまると考えることは危険です。

メンタルヘルスについて

言語も慣習も異なる日本でがんばる外国人にとって、様々なストレスや不安がのしかかることは少なくありません。そのため、外国人介護士が意欲的に働けるよう、肉体的な健康だけでなく、メンタルヘルスに気を配ることも重要です。外国人介護士のメンタルヘルスケアについては、専門家に任せるべき部分と、日常的に周囲の人間で行える部分があり、まずは意識すべきポイントや、問題が起きた場合の対処法について知っておきましょう。

外国人介護士の雇用は「配慮」があれば難しくない

外国人介護士の雇用によって考えられる問題について、不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、新しいことに取り組むときは多少の摩擦があるもの。問題が起こらないように、事前に準備をする・配慮することがなにより大切です。

日本人職員が外国人職員に業務を教えることで、日本人職員も改めて業務について考えられたり、今まで思いつかなかった利用者目線のアイディアに気付くこともあるはず。思いやりと理解をもって、外国人介護士を受け入れる準備をしましょう。

今後の外国人介護士受け入れの課題

外国人介護士の受け入れは、まだ始まったばかりの制度が多く、内容の詳細や在留年数の変更など今後も変更する可能性があります。受け入れ側の準備も整っていないことが多いため、今後出てくるであろう課題をまとめてみました。

給与面について

外国人介護士は、SNSなどを通じて同国の介護士同士で情報交換しているものです。給与は働く上でのモチベーションにつながるため、給与待遇が規定を下回らないよう適切な対応が求められています。

給料の総支給額と手取り額に差額が生じることで不信感を抱く人もいます。誤解が生じないよう雇用前に説明してください。社会保険や税金、天引きされるお金(ex.寮や社食など)や、反対に残業や夜勤などの手当てについてわかりやすく説明してあげましょう。

住宅面について

外国人介護士は、日本に自宅はありません。来日して間もない人は、賃貸物件を探すのも困難なため、事業所側が寮やアパートなどを借り上げて支援する必要があります。夜勤や天候のことなども考慮し、女性でも安全に通勤できて、職場と住宅との距離があまり遠くないように配慮することも大切です。

学習支援について

「EPA」で来日した介護候補者と、「留学」から介護の在留資格取得を目指す人たちは、働きながら日本語と介護の学習をすることになります。今のところ、「留学」の場合は福祉介護養成学校を修了すれば自動的に介護福祉士になれますが、「EPA」の候補者は、来日して3年半後に国家試験である介護福祉士の受検をしなければいけません。一定期間内に合格率およそ50%という試験に受からなければ、強制的に帰国になります。

事業所側は、EPAの候補者に対して学習できる時間を設けたり、日本語授業(ex.日本語講師による授業を実施するなど)を行うなどの対策と支援が大切です。留学生に対しても、夜勤はできるだけ入れず、学ばせることを優先してあげましょう。せっかく介護の仕事に慣れた人材を手放さないためにも、事業者側は学習の支援を怠らないようにサポートに力を入れてください。

現地の家族との関係について

日本の介護をサポートや介護を学びに来日する人のほとんどはアジア諸国からやってきます。その人たちを受け入れる事業主や施設は、働く人材だけでなく、その母国に残してきた家族への配慮を忘れてはいけません。

母国へ気軽に連絡が取れるように、自由に使えるWi-Fi設備を住宅に完備したり、数年に1度は一時帰国できる長期休暇を与えるなどの配慮を取り入れたいものです

ある事業所では、新しい人材確保の面接に合わせ、事業所で働くその国の外国人を一緒に連れて帰るという工夫をしています。家族と過ごす時間を与えたり、事業所の人も実家に訪れ家族と顔を合わせるなどして、信頼関係を築くためです。

外国人の介護士は国元から離れ、3Kと言われる介護業界にやってきた貴重な人材です。受け入れ施設が現地の家族も大切に考えているという態度を示すことは、日本で長く働きたいという意識を高めることにもつながります。

私生活について

外国人介護士(留学生、実習生も含め)は、若い女性が多いのが実態です。10代後半から20代で来日し、福祉介護を学んだり現場で数年間以上働くことになります。20代の大半を日本で過ごす可能性があるため、今後は外国人介護士の婚期や結婚のタイミングなどを考慮する必要が出てくるでしょう

今後は日本で配偶者を見つけられる手助け(マッチングなど)や、既婚者が日本に単身で来日している場合であれば、配偶者を日本に呼び寄せるサポートを行うなどの支援が必要になるかもしれません。

国家試験合格後のキャリアアップについて

働きながら難関の国家試験「介護福祉士」に合格した人達の中には、役割を果たしたという「燃え尽き症候群」に陥り、帰国してしまう人もいるようです。帰国する・しないは本人の自由なので、事業者が無理に引き留めることはできません。国によっては、日本語と日本で得た資格によって一般就労の何倍もの給与を得ることも可能です。日本の介護事業者が「格安の労働者」という位置づけで引き留めることは困難でしょう。それでも事業主側は、資格取得後の待遇やキャリアアップの魅力を本人に伝えることは大切です。例えば、今後はマネージメント的な立場で技能実習生の指導を行えることや、将来は職場の管理者になる可能性、母国で看護師の資格を持っている人ならJLPT試験のN1取得で日本の看護師の国家試験に受験できることなどが挙げられます。キャリアアップの道筋を示すことで、新たなモチベーションが生まれる可能性があります。