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日本の介護業界は深刻な人手不足。これからの時代、外国人介護士の採用は「当たり前」になります。外国人介護士を雇うには、どのような制度を利用すれば良いのでしょうか。外国人介護士の「派遣のみ」行う事業所がほとんどである中、自社で海外に学校を持ち、特定技能ビザによる介護人材の教育~来日後の支援までワンストップで行う「外国人介護士」雇用支援のプロ、ONODERA USER RUN(以下、OUR)に、介護市場の現状と外国人介護士の雇用について話を伺いました。
佐藤悠介さん
約5年間、医療介護業界の人材紹介コンサルタントとして従事。
その後2017年より、OURの前身である株式会社PWホールディングスでの海外人財に関する法人営業、マーケティング、教育コンテンツ開発等、幅広い業務を担当。
2020年4月現在、OUR営業本部マーケティング部の担当部長に就任し、現在に至る。
※引用元:ONODERA USER RUN公式HP(https://onodera-user-run.co.jp/)
単なる人材紹介にとどまらず、外国人介護士の教育から施設への紹介、アフターフォローまで、一貫したサポートを展開。2020年3月現在、東南アジア4か国に23校の学校を設立し、特定技能ビザの習得に向けて2439名の学生を教育しています。
平成30年度時点での外国人介護士の受け入れは773名(※3)となっており、過去10年間で外国人介護士を受け入れた施設は累計で808箇所となりました。
また、今後も外国人介護士を受け入れる予定と答えた介護施設は、同年の調査で78.9%と全体の約8割という結果に。外国人介護職員を雇用したことがない介護施設のうち、これから外国人を受け入れる予定と回答した施設に至っては20.2%と、約1/5の施設が先を見据えて外国人介護士の雇用を決定しています(※2)。
介護業界の深刻な人手不足を回避する策として、外国人介護士の雇用はもはや当たり前になるといえるでしょう。
※2:平成30年度 厚生労働省 老人保健健康増進等事業「外国人介護人材の受入れに関するアンケート調査」(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000496822.pdf)※平成30年10月1日時点調査
※3:外国人介護士を雇用するための制度の一つである「EPA」による受け入れの結果
佐藤悠介さん
外国人介護士を受け入れたい場合、どのようなアクションを取れば良いのでしょうか。具体的に、外国人介護士を雇用する際に利用できる4つの制度についてご紹介します。
※3 第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000207323.html)
外国人介護士を受け入れるためには、「EPA」「在留資格介護」「技能実習」「特定技能ビザ」の4つの制度のうちどれかを利用することになります。EPAや介護留学生だと「介護福祉士」資格の取得が目的の来日になるため、施設側で試験合格のための研修制度、支援環境の整備が必要。「特定技能ビザ」か「技能実習」制度を利用すると良いでしょう。
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EPA | EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者の雇用 | 資格なし ただし、資格取得を目的としている | 資格取得後は永続的な就労可能 一定の期間中に資格取得できない場合は帰国 | 看護系学校の卒業生 or 母国政府より介護士に認定 | N3程度※ 入国時の要件は尼・比:N5程度、越:N3 |
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介護 | 日本の介護福祉士養成校を卒業した 在留資格「介護」をもつ外国人の雇用 | 介護福祉士 | 永続的な就労可能 | 個人による | N2程度※ |
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技能実習 | 技能実習制度を活用した外国人(技能実習生)の雇用 | 資格なし ただし、実務要件等を満たせば、受験することは可能 | 最長5年 介護福祉士を取得すれば在留資格「介護」を選択でき、永続的な就労が可能 | 監理団体の選考基準による | N4程度※ |
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特定技能 | 在留資格「特定技能1号」をもつ外国人の雇用 | 資格なし ただし、実務要件等を満たせば、受験することは可能 | 最長5年 介護福祉士を取得すれば在留資格「介護」を選択でき、永続的な就労が可能 | 個人による | 入国時の要件は ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力/介護の現場で働く上で必要な日本語能力。現地で試験を受け、合格することで日本での就労が可能。 |
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※日本語能力試験JLPTのN1~N5の目安
「N4程度」など「程度」をつける場合は、日本語能力試験JLPTのN4に合格している、もしくはそれと同等の能力を有すると認められる場合を指します。
参照元:外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000496822.pdf)
条件が似ている技能実習と特定技能ビザですが、まず制度の目的が大きく異なります。
技能実習は、日本で学んだ技術や技能を活かして母国の発展に寄与することを目的とした制度。日本語と介護の基礎知識を身に着ける講習を受けてから、介護施設で直接雇用します。
特定技能ビザは、「 人手不足対応のための一定の専門性・技能を有する外国人の受入れ」が目的。介護職員初任者研修終了レベル程度の介護の知識と「基本的な日本語を理解することができる」N4レベルの日本語能力を確認したうえで来日するため、技能実習とはスキルのレベルが異なります。
そして、技能実習の配置基準の算定が8か月後であるのに対し、特定技能ビザは就労開始と同時に配置基準に算定。受け入れ人数枠は、技能実習が常勤30名に対し外国人介護士は3名までの受入れであるところ、特定技能ビザは常勤の人数と同等まで受入れが可能となっています。
佐藤悠介さん
2019年4月からスタートしたばかりの特定技能ビザは、国際貢献や国際理解を目的とした他の制度と異なり、「日本の介護現場の人材不足解消」を目的としています。そのため特定技能ビザであれば、配置基準や受け入れ人数枠など条件が施設にとって有利となっています。OURでは、特定技能ビザの取得を目指す学校を4か国に設けており、介護士を目指す外国人の方を教育から支援しています。
外国人介護士を目指す学生は、どのような想いで日本の介護施設に貢献したいと考えているのでしょうか。特定技能試験に合格した介護士の卵・サン サン モーさんにお話を伺っています。
また、志高い生徒に介護技術や日本語を教える現地の講師・マリナさんに、指導を行う上で心掛けていることやOURとの連携について語っていただきました。
OURの学校については、友達から話を聞いて知りました。日本の介護技術はミャンマーでも有名で、日本で働くことができれば家族の生活を支えられるだけでなく技術も習得できると思い、迷わず入学を希望しました。学費が無料なので、経済的な理由から学校へ通えていなかった志の高い学生も介護技術を学べています。
学校での授業は、日本の介護技術の基本、日本語の読解など、特定技能ビザの試験対策が中心となっています。日本で介護士として経験を積んだ先生方が授業を教えてくださるので、本格的かつ面白いです。学校の勉強だけでも充実していますが、宿題もしっかり出ますよ。そうして、介護技術や日本語の習得をあらゆる角度から徹底的にサポートしてもらえたことが、特定技能試験の合格につながったのだと感じています。
今はまだ日本の施設での雇用が決まっていませんが、実際に働くことになったら、これまで教えていただいた介護士技術をしっかり活かしたいですね。ゆくゆくは介護福祉士の資格も取りたいですし、介護士の仕事に誇りをもって日本に貢献したいと考えています。
OURの学校では、教科書を中心に学生へ介護技術や日本語を教えています。必要な教材は本社からすべて用意してもらったり、指導方針について共有を受けたりと、本社のサポートがとにかく手厚い。教える立場として最も大切にしなければならない、「学生が一生懸命頑張れる環境」というものを本社と学校の講師とで一緒に作れているので、介護士という仕事に対して意欲の高い学生が集まっていると感じます。お互いに協力し合えている体制が、特定技能試験の合格率の高さにつながっているのかもしれません。また、OURは学生の今だけでなく将来まで考える会社であり、学生が母国に帰ってきても日本の介護技術を母国で活かせるよう指導している様子は、他の会社にはないサポートではないでしょうか。
教科書をベースに授業を行っているといいましたが、テキストから読み取れることだけではなく、介護士としてどのような心構えを持ち仕事をすべきか伝えることも大切にしています。実は、OURの学校で講師を務める前に留学生として日本の介護施設で週2回、3年ほど働いていたのですが…。当時、指導をしてくれたリーダーから、介護技術を使って人をサポートすることだけが介護士の仕事なのではなく、「介護を受ける側の気持ちを考え、精神的な面までサポートするのが介護士の仕事」だと教わりました。自分の経験を伝えることが学生の将来に役立つと思うと、やりがいを感じますね。
私の役目は、介護士を本気で目指す生徒に対して、介護士が「人を助けられる素敵な仕事」であることを伝えること。同時に、「愛と思いやりがないと続けるのが難しい仕事」であることを伝え、覚悟をもって介護士を目指せるよう指導しています。今後も、学生には日本の技術を教えるだけではなく、自分の選んだ道が相手の命を守ることに繋がっていることを伝え、心の優しい介護士を増やしていきたいと思います。
海外の多数拠点に学校をもち、外国人介護士の教育から入国後のアフターフォローまでワンストップで行う、OURの取り組みや実績についてご紹介します。
進出国数
4か国
支店数
11支店
学生数
2439名
現地スタッフ
341名
OURでは、東南アジア4カ国11支店に23校の学校を設立。志高く優秀な人材であるにも関わらず、経済的な事情により学校へ通えないといった状況を生まないよう、学生に対して無償で教育を行っています。(※実績は全て2020年3月時点)
特定技能試験合格者数
613名
2020年3月、OURが運営する各拠点の学校にて総計613名の学生が「特定技能試験」に合格しました。OURでは、EPAの制度を使い日本の介護業界で働いた経験をもつ、現地の人材を講師として採用。ミスコミュニケーションがないよう、現地の言葉で学生の教育を行うことにこだわっています。
特定技能最新合格率
93.8%
OURが学校を運営するミャンマーにて、2020年3月時点における特定技能試験の合格率が93.8%を記録。特定技能試験の日本語能力試験と技能試験対策として、OURではオリジナルカリキュラム・オリジナルテキストを使用。高い合格率の実現に繋がっています。
教育
海外現地教育
日本語、介護教育
(7~8ヶ月間)
人材紹介
候補者の選定
マッチング
面接
書類申請
特定技能ビザのサポート
日本への送り出し
来日後
生活支援
介護福祉士資格取得支援
多くの登録支援機関が人材派遣のみを業態とするなか、OURは外国人介護士の海外現地での教育から来日後のフォローまで一貫して行っています。介護士を目指す外国人の学生が特定技能試験に合格できるよう、341名の優秀なスタッフが無償で教育を実施(2020年3月時点)。特定技能ビザを取得した学生と日本の施設とをマッチングしています。
外国人介護士の来日に際して必要な書類申請についても全てOUR側で対応。外国人介護士が一日でも早く施設にとっての即戦力になれるよう、来日後も生活支援・日本語支援に注力しています。
佐藤悠介さん
OURは、 特定技能ビザによる外国人介護士の教育~支援に特化した人財紹介会社です。ご紹介する人財は、募集、教育からご紹介後のアフターフォローまで全て当社が実施しており、だからこそ実現できる人柄、能力を理解した高いマッチング力と、ご紹介後も引き続き高度人財を目指した教育をする育成力が強みです。外国人介護士の受け入れを「わからない」と諦めてしまうのではなく、介護業界の未来のためにも私たちOURと一緒に挑戦してみませんか。
当サイトは、日本の人口減少を危惧し、あらゆる業界での外国人人材の雇用を支援するOMOTENASHI編集部が作成しています。今回は、「介護」をテーマにONODERA USER RUNへお話を伺いました。