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スリランカから来日し、介護士になろうとする人材が増えています。このページではスリランカからの受け入れ制度やスリランカの特徴、国民性、スリランカの方々と仕事をする上で覚えておきたいポイントなどをまとめています。
スリランカからの人材受け入れの際に利用できる制度・資格は、「特定技能ビザ」「技能実習」「介護ビザ」の3種類です。
特定技能は日本国内の人材不足解消のため設立された在留資格で、介護士にも適応されています。日本語能力の試験と介護技能が一定水準あると認められた人に発行され、入国したあとは介護事業所で最長5年間就労できます。
日本の技術や知識を海外へ技能移転すること目的にした制度です。介護の技能実習生として日本に入国する際は、スリランカで介護経験に従事した経験が必要で、さらに日本語能力試験N3程度は必要だとされています。
「留学」の在留資格で来日し、日本語と介護福祉養成学校に通い介護福祉士の資格取得を目指します。資格を取得すれば「介護」の在留資格へ変更できます。スリランカからはこの制度を利用して来日する人が増えています。
外国人介護士を迎えるための制度をまとめています。今後、本格的に外国人介護士を雇用したいと検討している方はご覧ください。
日本語での正式名称はスリランカ民主社会主義共和国で、通称「スリランカ」。インドの南に位置する美しい島国で「インドの涙」とも呼ばれています。
首都はスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテですが、首都の少し北に位置する「コロンボ」がスリランカ最大の都市です。2018年の人口は2200万人弱。スリランカは世界のお茶の約10%を生産するとされ、日本でも「セイロン茶」は有名です。
スリランカ国内の約75%はシンハラ人が占め、その他にタミル人やムーア人など幾つかの民族で構成されています。公用語はシンハラ語とタミル語の2つが採用されていますが、連結語として英語が使用されています。
26年にも及ぶ内戦が2009年に終結したスリランカ。戦争後の復興などもあり、順調に経済成長をあげています。インド洋で屈指の規模であるコロンボ港は、アジアと中東・アフリカを結ぶ東西物流の要衝で物流関連で大きな利益を生むほかに、8つの世界遺産とインド洋で囲まれた地理は観光業としてのポテンシャルもあります。
しかしながら、スリランカは慢性的な赤字経常収支です。福祉型国家を理想とするスリランカは、経済成長よりも分配(社会主義国)を重視しているのが原因ですが、内戦時の軍需物資輸入が赤字に影響を与えているとも言われています。観光収入は、外国人観光客の増加により拡大しています。
スリランカの出稼ぎ労働者数は、増加傾向にあります。2006年と2014年を比較すると出化成労働者数は1.5倍に増加しています。その約8割の出稼ぎ先は裕福な中東方面で、家政婦や単純労働者や技能労働者、専門職などで渡航しています。スリランカの一般的な給与は35,000円/月程度なので、外資に魅力があるのもうなずけます。
日本の技能実習制度や留学制度が始まってからは、これらを利用して来日するスリランカ人が少しずつ増加しています。
※参考元:一般社会法人 外国人就職支援センター「スリランカ人を採用するポイント」(https://job.svisa.net/sliranka/)
※参考元:【PDF】三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経済レポート「スリランカ経済の現状と今後の展望」(https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2016/09/report_160906.pdf)
スリランカからの人材を介護士として受け入れるには、どのような国民性を持つのかを知っておくことが大切です。
植民国だった時代にイギリスから大きな影響を受けたスリランカは、社会保障や教育制度が充実しています。初等教育から大学まで無償で受けられるだけでなく、職業訓練の学校も充実しています。そのため周りの南アジア諸国と比べて識字率が高く知識も豊か。ふたつの公用語の連結語として英語を利用するため、語学力が高いのも特徴です。
国民の7割が仏教徒というスリランカは、目上の人を敬い、和を大切にする礼儀正しい人が多いとされています。また子供の頃から宗教や民族の多様性を認める教育をされているので、柔軟な考えの持ち主が多いようです。集団性を求める日本人とは、コミュニケーションが取りやすいと言えそうです。
スリランカ人を雇用する際に、覚えておきたい幾つかのポイントがあります。
頭の回転が早く、仕事に真面目に取り組む人が多いスリランカ人ですが、なかにはプライドが高くわからない事を「わからない」と口に出せない人もいるようです。
日本人スタッフは、指示の確認をする際に漠然と「わかりましたか?」と尋ねるのではなく、本人の口から指示の確認を繰り返してもらいましょう。初めての仕事を教えるならば、一緒に仕事をしながらステップアップするほうが、プライドを傷つけず確実に仕事を覚えてくれるかもしれません。
スリランカ国内での介護人材育成はどのように行われているのでしょうか?その状況を紹介します
多くのアジア諸国の高齢者介護は、「家族ケアが介護の中心」ですが、スリランカは高齢者介護が比較的整備されています。国が作った高齢者施設もありますが、大多数は「高齢者擁護の法律」に基づき登録された民間団体や宗教団体によって運営されています。
特にイギリス発祥の国際NGOが運営する施設では、国連五原則(思いやり、自立、参加、自己実現、尊厳) に基づくサービスが施行され、健康診断やアーユルヴェーダ医療、福祉用具配布、配食サービス、デイケアなどが取り入れられた質の高いものです。
高齢者に対して介護サービスを提供できる介護士(Caregiver)は、社会保障省によって管理されている国家資格です。病院や高齢者施設、デイケア、高齢者の自宅などで就労できます。
介護士の資格は国家高齢者事務局による3カ月の研修で取得できるので、日本の介護士資格より容易です。介護士以外にも、自宅で高齢者や障がい者を支援できる地域リハビリテーションボランティアという認定資格もあります。
※参考元:【PDF】保健医療科学「アジア太平洋諸国の低・中所得国における介護人材の法規制にかかる現状」(https://www.niph.go.jp/journal/data/67-2/201867020010.pdf)
スリランカから来日し、介護士を目指す人材は今後増加する傾向があります。これからスリランカ人の介護士を雇用する予定があるならば、正しい雇用制度とスリランカの国民性などを知っておきましょう。