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コラム10:人材不足の状況下における介護人材の育成

介護業界の人材不足が深刻化している現状において、一人ひとりの介護職員のスキルアップによって介護の質を向上させ、業務の質の低下を予防することは介護施設の運営において重要です。

そこで、このページでは介護人材の育成について具体的に解説しています。

介護業界で求められるリーダー人材の育成と役割

介護チームのリーダー人材の育成

介護業務ではリーダーシップを発揮して、介護の先頭に立つ人材が非常に重要とされており、リーダーシップ人材をどのように育成するかは介護施設運営者にとって必ず意識しておくべきポイントでしょう。

介護業界では要介護者に対して複数の介護職員がチームを組み、チームケアを行っていくことが基本になります。そのため、チームリーダーは誰がどのような能力や経験を有しているか、チームメンバーの特性をきちんと把握した上で、どのように介護を実践し、何が現状において不足しているか、正しく見極められる人でなければなりません。

チームリーダーとして活躍できる人材を育成し、チーム全体の連帯感を高めていくことが、介護人材の不足する状況でも質の高い介護を提供する方法論として重視されています。

介護士のリーダーの役割と求められるスキル

介護士のチームリーダーの役割と、求められるスキルは多岐にわたっており、厚生労働省では基本的に以下のようなテーマでリーダー育成の指針を打ち出しています。

  • 高度な技術を有する介護実践者としての役割
  • 介護技術の指導者としての役割
  • 介護士チームを責任者としてマネジメントする役割

※参考資料:厚生労働省 第7回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会「介護人材の機能に応じた育成のあり方について」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000142796.pdf

高度な技術を有する介護実践者としての役割

チームリーダーには、高品質な介護業務を提供する人材として、そもそも高いスキルが求められます。例えば、認知症の要介護者に対する接し方や、有病者に対する接し方でも違いがあり、それぞれの要介護者の特性に応じた介護業務を提供することが欠かせません。

個々の要介護者に対して充実の介護を提供し、多くのスペシャリストと連携するためには、常に介護士としての知識や技術をブラッシュアップし、様々な立場や人々の視点で物事を考えていける探究心と柔軟性の獲得が大切です。

介護技術の指導者としての役割

チームリーダーには、新人介護士や外国人介護士を育成して、信頼できる介護士として成長させる役割も求められます。そのため、リーダーが見るべきは要介護者だけでなく、チームメンバーも広く含まれることがポイントです。

また、適正な人材育成には、個々の介護職員の性格や能力に応じた指導を行うことが必要であり、リーダー人材を育てる上でも十分なコミュニケーション能力や、人材アセスメントの方法を習得させることは重要ポイントとなるでしょう。

介護士チームを責任者としてマネジメントする役割

個々のメンバーのスキルが高くとも、きちんとメンバー同士が連携して、チームワークを発揮しなければ、高品質の介護の提供は不可能です。そこで、チームリーダーは介護施設の環境や要介護者の状況を踏まえた上で、適正な介護計画を考案し、きちんとフォローを行いながら各メンバーをマネジメントする能力も欠かせません。

また、様々な職種の人材と連携して業務を遂行する、多職種連携力もチームリーダーとして重要な能力とされており、他職種の役割を理解した上で、お互いに情報共有しつつ介護計画を考えるには、PDCAサイクルを実践していくビジネスパーソンとしての意識も求められます。

人材ごとの育成方法

個々の経験や能力にもとづいた育成プランの構築

適正な人材育成を実践するには、個々の職員が介護士としてどのような経験を積み、どんな能力を持っているのか、それぞれの特性を把握することが必要です。

介護業界では、同じ経験年数であっても従事してきた業務内容や要介護者によって、それぞれの介護士が有している経験や能力にも違いがあり、経験年数や経歴だけにとらわれず、きちんと人材の適性を考えることがカギとなります。

また、理想的な人材育成では、指導者だけが考えるのでなく、たとえベテラン職員であっても己の不足部分を自覚し、率先して考えていく主体性が不可欠です。

外国人介護士の育成には相互理解と信頼関係が重要

外国人介護士を育成する場合、個人の介護経験や能力に加えて、出身国ごとの文化や考え方の違いについても把握しなければなりません。

また、日本語能力が十分でない外国人介護士に接する場合、彼らの抱えている悩みや問題をいち早く察ししたり、他の日本人との橋渡しを行ったりすることも必要です。

当然ながら、質の高い育成には一方的な指導ではなく、外国人介護士からも積極的に相談される双方向の育成環境が欠かせないため、日常的にコミュニケーションをとって信頼関係を構築し、人と人として尊重し合える風土を整えることもポイントとなります。

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