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外国人介護士の人材獲得競争が激化している現状についてまとめています。
日本がEPAの受け入れを開始し始めた当初は、受け入れ人数以上に来日希望者がいましたが、いまでは希望者が減少しています。希望が減った理由として、EPAに申し込むには日本語能力の基準を満たしていることが要求され、介護福祉士に4年以内に合格しないと働き続けられないという厳しい条件が設定されていることが挙げられるでしょう。
超高齢社会の先陣を切る日本で、介護の技術を学びたちというアジアの人材は決して少なくありませんが、日本で設定されている厳しい条件を満たしてまで働きたいかなると話は変わってきます。例えば、英語を公用語としているフィリピンであれば、同じく英語圏であるアメリカやカナダなどを選んだ方が、日本よりも働きやすく待遇が良いのです。
また、今後は中国も急速に高齢化社会に突入していきます。日本はアジアの人材を獲得するにあたり、中国とも競争することになる未来が予想できるでしょう。このように、介護人材の争奪戦は時間が経過し高齢化社会を迎える国が増えるほど激化していくのです。外国人介護士を確保するために、現在設定されている厳しい条件を早急に見直していく必要があります。
すでに留学生や技能実習生は国内で働いていますが、彼らにとって働きやすい環境が整っているとはいえません。男女共同参画方や障害者対策が導入されている日本ですが、上記の政策は外国人には適応されていないのです。職場の環境を整えるのはもちろん大切ですが、生活の面でも外国人が暮らしやすい基本法を定める必要があります。地方自治体や市民団体が協力して、改善する必要があるでしょう。その際、外国人が多い地域だけが積極的に制度の改正を行うと地域差が生じてしまうため、外国人が少ない地域も問題意識を持って、制度の見直しをするのが好ましいです。また、政府は今後の方針として、5年間で34万人の外国人労働者を受け入れることを発表しています。
厚生労働省の統計では、17年10月時点の外国人労働者が約128万人となっており、16年前に比べ約20万人増加していることが分かります。法改正前からこれだけの人数が増加していては、受け入れ体制の整備が間に合いません。法施行後に修正すればいいという意見もありますが、それでは問題が発生するリスクが高くなってしまいます。働き盛りの外国人労働者が、歓迎される国に行きたいと思うのは当然のこと。暮らしやすいと思ってもらうためにも、早急に環境の整備をすすめる必要があります。外国人労働者と日本人の雇用条件を同等に設定し、同一労働かつ同一賃金のできるだけ早い実現が求められるでしょう。政府が見据えている5年後を見越して、外国人労働者のモチベーションを上げるために、仕事に対してさまざまな選択肢を用意しておくことが課題です。
日本では外国人労働者に対して移民意識を持っている人も多く、「外国人労働者を受け入れると大量の外国人が流れ込んでくる」と考えられがちです。しかしそれは誤った認識であり、外国で働きたいと考えているフィリピンなどの介護士が目指すのはまずアメリカ、次にカナダやオーストリアなどのどれも英語圏の国になります。
英語圏の国の方が、給料が高い上に長く働くことが可能です。日本は優秀な人材が欲しいと言っていますが、アジアの国の中においてさえ、日本は外国人労働者から働き先に選ばれなくなっているという現状があります。
英語圏であればわざわざ新たに語学を勉強しなくて良くなります。同じアジアでも香港やシンガポールは英語圏なので、そちらに労働力が流れ込むようになりました。
このまま日本人が外国人に対して謝った排他的認識を持ち、人材確保に対する危機感を抱かないままであれば、外国人介護士人材の獲得競争に乗り遅れてしまいます。外国人労働者をより多く招き、長く働いてもらうために日本人の認識の変革を呼びかける必要があるでしょう。