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このページでは、ラオス人を日本の介護施設で介護人材として受け入れるための制度や資格、ラオス人介護士と接するうえで知っておくべきラオスの国民性や文化などについて解説しています。
日本の介護業界でラオス人を外国人介護士/外国人労働者として受け入れる場合、「技能実習生」と「在留資格:介護」という2種類の制度を活用できます。
技能実習生は、特定の職種について先進国で働きながら技術を学び、帰国後に本国の発展の土台となれるように人材を育成するための制度です。日本政府とラオス政府は技能実習生について2017年12月に二国間で協力覚書を交わしており、それぞれの政府や公的機関・政府公認機関が、ラオスから日本への技能実習制度を健全かつ適正に運用できるよう取り組むことが約束されました。
参照元:OTIT 外国人技能実習機構「送出国政府窓口と二国間取決め」(https://www.otit.go.jp/soushutsu_nikokukan/)
参照元:【PFD】法務省「【日本国法務省、外務省、厚生労働省とラオス人民民主共和国労働・社会福祉省との間の技能実習制度に関する協力覚書】(仮訳)」(http://www.moj.go.jp/isa/content/930003532.pdf)
介護分野について専門的な知識と技術を習得し、さらに日本語能力が十分に認められる人であれば、外国人でも日本の介護福祉士国家試験を受験することが可能です。そして見事に介護士として資格を取得すれば、在留資格「介護」の資格により日本で働けるチャンスが生まれます。
在留資格「介護」の場合、就労期間などに制限がなく、一定期間ごとにビザの更新を続けることで、いつまでも日本の介護現場で働き続けられます。
タイとベトナムに挟まれるように位置するラオスは、起源をたどれば1353年のランサーン王国にまでさかのぼり、1975年12月には現在のラオス人民民主共和国として成立しました。また、2020年には日本とラオスの外交関係樹立65周年を迎え、日本との付き合いも古くから続いていることが特徴です。
外務省の基礎データによれば、ラオスは合計50の民族が共存する多民族国家であり、中でもラオ族が全人口の過半数となっています。かつては内戦や周辺国との緊張状態が続いた時代もありましたが、現在は経済発展を目指して多くの国々と良好な関係の維持を目指しています。
ラオス人はおおらかで親しみやすい人が多く、また人と人が互いに支え合い、助け合える優しい性格をしているとされています。そのため「ラオスでは人が飢えない」という言葉も生まれており、ラオス人の穏やかで素朴な人柄は日本人観光客などからも愛され、ラオスが人気の理由の1つとなっています。
ラオス政府は、公式見解としてラオスを統一民族(ラオス民族)の国としていますが、実際は数多くの民族や部族を抱える国であり、都市部で暮らす人や自然の中で暮らす人など、各人が様々なライフスタイルを送っていることがポイントです。
文化や風習の異なる人々が各地で共存し、多民族国家として維持されているラオスでは、多様性を尊重する風土が醸成されており、介護分野との適性も高いと考えられます。
ラオスは仏教徒の多い国として知られていますが、日本の「大乗仏教」と異なり、ラオスでは「上座部仏教」が中心となっています。
忍耐や受容の精神を重視するラオスの文化や生活様式は、幼い頃から仏教の教えに触れることで育まれてきた部分もあるのでしょう。年に一度、2日間にわたって行われる仏教の祭典は、ラオスで最も重要なイベントとして愛されています。
ラオスの公用語とされているラオ語は、何段階もの敬語や丁寧語を含んだ礼儀正しい言語であることも特徴です。
言語はそれを使う社会や人々のライフスタイルを象徴する文化であり、日本と同様に、他者への敬意や尊重の念を大切にする精神性は、日本の介護分野とも相性が良いといえます。
真面目で穏やかな性格のラオス人は、何か不満があってもそれを相手にすぐ伝えるのでなく、まず自分で受け止めて処理しようとする傾向があります。それはラオス人を人材として雇用する側にとって都合の良いように思えますが、実際はただでさえ異国で生活するというストレスを抱えているラオス人に、さらなるストレスを抱え込ませるという状況になりかねません。
そのため、日頃からコミュニケーションを大切にして、悩みや不安があればきちんと相談してもらえるよう信頼関係を構築しておきましょう。
文化的にも社会的にも他者を大切にして、他人を慈しむ精神性が育まれているラオスの人々は、介護人材を探す上でも魅力的といえます。
ラオスから日本への技能実習生の数は中国やベトナム、フィリピンといった国々と比較すると大幅に少ないものの、言い換えれば介護業界にとって隠れた魅力の多い国だと考えられます。
ラオス人を介護人材として日本で受け入れようとしても、日本の事業所や介護施設が独力で信頼できて有能なラオス人材を見つけることは難しいでしょう。
そのため実際は技能実習生の制度を活用したり、専門の機関を通じて人材を紹介してもらったりといった流れになります。
ただし、制度や機関の違いによって条件やメリットも異なるため、まずは各制度や機関について理解して、それぞれを比較検証することが重要です。