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海外から外国人介護士を受け入れる場合、様々な「差別」を回避して、日本社会での健全な共生を目指すことが欠かせません。そこで、ここでは日本とは異なる文化や習慣の中で生きてきた外国人介護士と、彼らを取り巻く差別問題について、注意点や解決策をまとめました。
日本国内で日本人間における「差別」と言われると、学歴差別や出生地差別、あるいは男女差別といったものが主に想定されるかも知れません。また、近年は母子家庭や父子家庭といった家族構成に由来する差別も問題視されています。
しかし世界的に見れば、さらに人種や宗教、生活様式や文化など、様々なものに起因する差別が問題とされており、なかには歴史的、社会構造的に差別が残っている国も多く、外国人にとって差別問題は、日本人が考える以上の深刻さを抱えていることが少なくありません。そのため、外国人介護士を受け入れる場合、日本人もグローバルスタンダードな意識を持つことが重要です。
差別とは、本人に責任がない事柄を理由にして、不平等を強いることといえます。そのため、外国人介護士を受け入れるに当たって注意すべき「差別の原因」にも、非常に様々なものが考えられるでしょう。
日本の企業では、外国人を受け入れる理由として「人件費が安いから」というものが挙げられます。しかし、たとえ外国人でも、実際に働いてきちんと仕事の成果を上げていれば、それに見合った賃金を受け取る権利があります。
また、日本国内では「働き方改革」によって「同一労働・同一賃金」の原則が掲げられ、正社員でも非正規社員でも、仕事の内容が同じであれば同じレベルの賃金を受け取れるべきという社会制度が実施されました。
もちろん、経験の差や資格の有無、就業態度などによって賃金差が生じることはあります。しかし、「外国人だから」という理由だけで不当に低賃金を強いることがあれば、信頼関係を構築することは難しいでしょう。
令和に入り、日本社会で暮らす外国人や、外国人を親に持つ日本人なども増えており、昭和や平成の初期に比べて街中で外国人を見つける機会も多くなりました。しかし、地域によってはまだまだ外国人が珍しく、肌の色や見た目の違いに対して戸惑いを感じてしまう日本人も少なくありません。そしてそのような場合、仮に日本人の側に差別してやろうという意識がなくても、戸惑われた外国人にとっては「差別された」と感じてしまうことがあります。
そのため、日本人が注意するだけでなく、外国人にも日本人の習慣や文化を理解してもらうことが必要です。
特定技能ビザを取得して外国人介護士として働く人の場合、ある程度の日本語能力は備えています。しかしそもそも日本人と比較すれば、コミュニケーションを取る中で誤解や不都合が生じることもあるでしょう。
そしてそのような時、相手を見下したり能力不足を非難したりするのでなく、改めて知識や文化を共有し、不足を補い合いながら、互いにより良い関係を目指すことが大切です。
例えば、新しく来た外国人介護士の歓迎会を開いた際、きっとお箸が使えないだろうからとスプーンやフォークを差し出すことが、相手にとっては差別的な侮辱に感じられることもあります。
日本人に悪気がなくても、相互理解が不充分であれば、良かれと思ったことが差別になってしまう危険性もあるでしょう。
海外では、宗教や信仰に対する意識が日本より遥かに強く、宗教や宗派ごとに生活や食習慣に信仰が影響していることも珍しくありません。
もしも、日本人にとって見慣れない仕草や生活習慣などであっても、それが外国人介護士にとって本当に大切なことであれば、尊重して受け入れる寛容さが不可欠です。
差別を解消するには、何よりも相手の人間性を尊重しながら、相互理解を進めて行くことが必要になります。
とはいえ、普段から外国人にあまり接していなかったり、外国人に正しく物事を伝えるノウハウが十分に備わっていなければ、相互理解を進めようにも余計に問題がこじれてしまう恐れもあります。
そこで、外国人介護士を受け入れる際は、例えば外国人介護士の人材紹介に特化したONODERA USER RUNのように、外国人への教育をしっかり行っているだけでなく、外国人と接する上での注意点などを日本人の側にもちゃんと伝えてくれる人材サービス会社を活用することが、リスク対策として有効です。