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このページでは、タイ人介護士の受け入れを検討している事業所向けに、受け入れられる制度や資格、タイの方々の国民性などを紹介します。タイから日本へやってきた外国人介護士の方々と円滑に仕事をするために、ぜひご覧ください。
介護のためにタイから人材を受け入れられる制度や資格は、「特定技能ビザ」「技能実習」「介護ビザ」の3種類です。
人手不足解消のために実務経験者の外国人を受け入れる制度です。日本国内で人材を確保するのに困難な産業分野を対象に、一定の専門性と技術を要する外国人を採用するために設立された在留資格。日本語能力も必須です。介護事業所で最長5年間就労できます。
日本の技術を海外へ移転することを目的とした制度です。日本へ入国する際には一定レベルの日本語能力が必要。介護の分野で技能実習するためには、母国で同等業務に従事した経験を持っていることが条件になります。
日本の介護福祉養成学校を卒業し、介護の技術と知識を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。当初は留学生として来日し、学校卒業後に介護福祉士資格を取得すれば、在留資格が「介護」に変更できます。その後は永続的就労も可能です。
外国人介護士の制度について、下記のページで紹介しています。外国人介護士の雇用を検討している方は、ぜひご覧ください。
タイの正式名は「タイ王国」で、東南アジアに位置する立憲君主制国家です。人口は約6,900万人で、首都はバンコクです。ASEAN(東南アジア諸国連合)やAPEC(アジア太平洋経済協力)には結成時から加盟し、高い教育水準や豊かな国土から工業国へ発展して経済成長を続けています。
政治情勢については近年不安定で、たびたび国軍がクーデターを起こしています。最近では2014年にプラユット将軍が軍事クーデターを起こし、軍事独裁政権が継続しています。
幾つかの民族から構成されているタイ王国ですが、最も多いのはタイ族で約75%を占めています。次に多いのは華人で、そのほかにマレーやインド系、モン族などが住んでいます。首都バンコクでは、さまざまな顔立ちのタイ人が往来する様子がわかります。また公用語はタイ語を使用しますが、イーサン語・ラーオ語・シャン語・モン語など多くの言語が存在します。
王室を始めとして、多くの人々は仏教徒です。上座部仏教にヒンドゥー教や精霊信仰を加えた独特のものです。そのほかにもキリスト教やイスラム教などを進行している民族もいます。
タイの通貨は「バーツ」で、1バーツは約3.5円(2021年4月現在)となります。バンコクの平均年収は約530,000バーツ(年収185.5万円)、地方の平均年収は230,000バーツ(年収80.5万円)と、倍以上の格差があるのがわかります。
参考までにタイではキャリアにあたる看護師の給与水準の年収は、276,000バーツ(年収96.6万円)、販売などのサービス業の年収は約180,000バーツ(年収63万円)とのこと。物価は日本と比べて安いものの、夫婦共働きで働かないと生活は厳しいようです。
2019年現在バンコク日本人商工会議所には約1,800社の日本企業が登録しています。日系企業については、さらにその3倍近い数になり右上がりの増加傾向です。日本とタイはビジネス上のパートナーでもあるわけです。
※参考元:Clip「タイ人の平均月収11.5万円(約32,000バーツ)平均年収は138万円【職業別給与水準】」
(http://asia-community.net/タイ人の月収11-5万円約32000バーツ-年収は138万円【職業/)
※参考元:【PDF】JETROバンコク事務所「タイ日系企業進出動向調査 2017年」調査結果」(https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/762117c2abed4a1c/20170074_summary.pdf/ )
タイ人の介護士を受け入れる予定の事業者は、タイの国民性について知っておきましょう。
仏教信仰が根付いているタイでは、困った人に手を差し出す姿勢が日常生活で見られます。それは人助けが徳を積むこととされているからです。家族や目上の人を敬い大切にする精神も、小さい頃から養われていると言います。
気候の影響もあるのか、タイの人は明るく朗らかな人が多いそうです。気さくで人懐っこく、その笑顔に魅力を感じて何度もタイに旅行する人も多いことでしょう。
その一方で、のんびりしてマイペースな人が多い一面もあります。「大丈夫!」「気にしない」「なんとかなる」という言葉がタイでは日常茶飯事。受け入れる事業者側が把握していないと、日本の現場ではマイナスポイントになる可能性もあるので気をつけたいところです。
タイ人を介護従事者として雇用する際に気をつけたいポイントは、次の通りです。
「大丈夫、問題ない」という環境の中で育ったタイの人は、マイペースで失敗に動じない人もいます。失敗した結果、どういうことが起こるのか、周りへの気配りなどを理解してもらう必要があります。
タイ人の中には、悪気なくプライベートなことを聞き出そうとしたり、世話をやこうとする人がいるようです。日本人スタッフや介護サービスする人への距離感が近い人もいて、問題になるシーンがあるかもしれません。そのようなことにならないよう、予め日本人の距離感などを話しておきましょう。
安定した経済状況のなかで順調に発展しているタイ王国。2016年のタイ国家統計局人口統計では、総人口6,898万人のうち、65 歳以上の人口は約725万人で総人口の10.51%を高齢者が占めています。2030年には高齢者が総人口の25%以上に達するとみられ、高齢化が進行しているとのこと。そんなタイでは、政府や外国が参入した介護人材育成が進み始めています。
タイの高齢者介護は、ファミリーケアが一般的です。地方においては、隣人らとのコミュニティとの結束も強いために、協力しながらの在宅ケアするのが主流となっています。しかし都市部では少子化や共働き、離婚率の上昇、核家族化が進み、家族や在宅ケアが困難になっているのも現実です。
そのため、国としても優れた介護士や看護師の育成が課題となっており、次のような専門家を積極的に育成を育成しています。
4年制の看護過程を経て国家資格を取得します。しかしその多くは医療機関で就労するために、介護施設で勤務する看護師はごく一部のようです。
急速に需要が拡大している職業で、ナースエイドとも呼ばれています。専門学校を修了すると、介護士として働けます。
タイ保健省が地域レベルでケースワーカーの養成を実施しています。保健省は介護に対応できる人材として、ケア・マネージャーとケア・ギバーの育成を策定。ケアギバー1名につき、高齢者7~10名割り当てられ、マネージャーがケア・ギバー数名を管理するシステムです。
日本の先進的な介護関連技術をセミナーを通じてタイへ伝達したり、日本へ来日して実習生として働きながら経験値を上げるなどのサポートが行われています。
他にも日本の介護士不足を解消するために、日本の事業所や自治体が参入するケースもあります。例えばある自治体では、タイの高校と連携したプログラムを実施。高校3年生の希望者に1年間日本語と介護の知識を指導しています。高校卒業後は「技能実習生」として来日し、県内の介護施設で就労できるシステムを始動させています。その実習生が希望すれば、「特定技能」の在留資格を取ることも可能です。
このように日本の介護士不足を解消するために、人材育成をサポートする事業所や自治体が増えています。
タイの特徴や経済、タイ人のお国柄、介護の人材育成の様子などを紹介しました。外国人介護士を雇うつもりであれば、まずはどのような雇用制度があるのかを確認して受け入れ態勢を整えましょう。
事業所の目的に合うよう対象となる国やシステム、条件などをきちんと確認してください。