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外国人介護士に人員基準はある?

外国人介護士の人員配置基準について、就労を目的とする特定技能ビザに注目し情報をまとめています。

特定技能ビザによる外国人介護士の配置基準は?

特定技能ビザを取得した外国人介護士を受け入れる場合、技能実習3年修了の人材と介護技能が同等であることから、雇用と同時に配置基準に算定されます。

ただし、一定期間、他の日本人職員とチームでケアに当たるなど、受け入れ施設での順応をサポートし、施設での安全性を確保するための体制を整えることが必須。特定技能ビザ以外の制度についてもみていきましょう。

  • 技能実習の場合:来日後2カ月の研修と6カ月の実習が必要です。日本語能力試験N2以上の能力を持っている外国人介護士であれば、雇用後すぐに配置基準に含めることが可能。
  • EPAの場合:インドネシア人候補生とフィリピン人候補生は、来日後6カ月の研修と6カ月の就労が必要。ベトナム人候補生の場合は、来日後2ヵ月半の研修と6カ月の就労が必要となっています。技能実習と同様、日本語能力試験N2以上の能力を持つ場合は、雇用してすぐに配置基準に含められます。
  • 在留資格「介護」を所持している場合:日本の国家資格「介護福祉士」の資格を取得していることになるので、もちろん日本の介護業界で働くことができます。制度によっては、家族を日本へ呼ぶことができませんが、在留資格「介護」であれば家族を呼び寄せ永住が可能。

技能実習・EPAの場合は実習期間が必要であり、在留資格「介護」は資格を取得するまでに時間がかかります。即戦力を求めるなら、特定技能ビザによる外国人介護士の受け入れがおすすめです。

特定技能ビザでの外国人介護士雇用の流れ

即戦力の人材として特定技能ビザによる外国人介護士の採用を決めたとしても、実際に日本へ入国して就労してもらえるまでには適正に処理しなければならない手続きがあります。

採用したい外国人介護士が国内にいるか海外にいるか

まず、採用対象となる外国人介護士がすでに日本国内にいる場合と、まだ海外にいる場合で流れが異なることに注意してください。

すでに特定技能ビザを取得して日本国内にいる外国人介護士であれば、人材紹介会社や求人サイト、外国語学校などの教育機関を通じて人材募集を行うことができます。一方、海外にいる外国人介護士に来日してもらって就労してもらう場合、日本国内にある人材紹介会社や現地の「送出し機関」などを通じて外国人介護士を採用するということが必要です。

いずれの場合にしても、特定技能ビザによる外国人介護士を即戦力として迎える場合、人材を選定する段階から外国人介護士の就労支援や採用募集に関して信頼できる会社や機関を活用することが欠かせません。

申請書類は外国人介護士と受入れ事業者のそれぞれが用意

特定技能ビザによる外国人介護士の就労については、就労する外国人介護士と受け入れ施設が、それぞれ申請書類を用意しなければなりません。

必要とされる申請書類のうち、基本的なものは以下のようになります。

  • 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧・確認表
  • 申請する特定技能外国人の名簿
  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 特定技能外国人の報酬に関する説明書
  • 特定技能雇用契約書の写し
  • 雇用条件書の写し
  • 事前ガイダンスの確認書
  • 支払費用の同意書及び費用明細書
  • 徴収費用の説明書
  • 特定技能外国人の履歴書
  • 技能水準を証明する資料
  • 日本語水準を証明する資料

なお、例えばベトナム人を特定技能ビザによって外国人介護士として就労させる場合、駐日ベトナム大使館かDOLAB(労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局)へ、対象となるベトナム人について「推薦者交付申請」を行わなければならないといったルールもあります。また、すでにベトナム人介護士が国内にいる場合、駐日ベトナム大使館やDOLABへの「在留資格変更許可申請」は、ベトナム人本人が行わなければなりません。

雇用契約の締結と支援義務の履行

特定技能ビザの場合、受け入れ先となる施設と外国人介護士が直接に雇用関係を結ぶため、労働内容や給与待遇などに関する書類をそろえた上で、雇用契約を締結します。また、事前ガイダンスや健康診断といった支援義務の実施が定められており、それらについても滞りなく完了させなければなりません。

ただし、外国人介護士が海外にいる場合、受け入れ先となる施設は登録支援機関などに支援義務の実施を委託することが可能です。

就労前の支援計画の実施

諸手続が完了すれば外国人介護士を入国させたり、受け入れ先機関で引き受けたりすることが可能になりますが、就労前にあらかじめ定められた支援計画にもとづいた給与口座の開設や住居の確保なども必要です。

スムーズに外国人介護士を就労させるためにも、支援計画の実施は遅滞なく進めるようにしてください。

特定技能ビザによる外国人介護士の受け入れに必要なフォローとは

実習期間がないとはいえ、外国人介護士のためだけではなく、利用者にとっての安全面を考慮する理由から、業務や精神面における一定期間のフォローが必要です。具体的に、受け入れた外国人介護士が施設における業務に順応するまでの期間を一定期間と定めており、およそ6ヶ月と想定されています。

そのほか特定技能ビザによる外国人介護士の受け入れについて、

  1. 外国人介護士と日本人職員が一体となって介護にあたること
  2. 介護技術習得の機会の提供
  3. 外国人介護士に対する日本語習得の機会の提供

といったフォローが必要とされています。

各制度ごとの外国人介護士の雇用形態について

特定技能ビザは、施設での直雇用が必要です。日本人が従事する場合の報酬と同等額以上の報酬水準が求められています。同一法人内を異動することも自由ですが、介護業界内での転職も自由。

EPAでは、同一法人内を異動、転職ともに原則できませんが、国家資格「介護福祉士」取得後であれば可能です。

技能実習生は、働きながら学ぶために施設と雇用関係を結びます。来日後、実習としての労働に従事してもらうことが可能ですが、雇用契約の締結と労働関係法令の遵守を厳しく求められます。3年の実務を終了した技能実習生は、必要な試験を免除して特定技能ビザの資格を得ることも可能です。

外国人介護士に任せても良い仕事

特定技能ビザによる雇用であれば、訪問介護以外の業務を行うことができます

技能実習生の場合も訪問介護以外の業務ができますが、夜勤は技能実習生以外の介護職員を同時に配置すること、技能実習生以外の介護職員と技能実習生の複数名で業務を行うことが必要。また夜勤業務等を行うのは2年目以降で、1年目の技能実習生が夜勤を担当することは極力避ける必要があるとされています。

EPAであれば、介護保険3施設、認知症グループホーム、特定施設、 通所介護、通所リハ、認知症デイ、ショートステイなどで働くことが可能。

介護福祉士の国家資格を取得している場合は、もちろん介護業務全般を任せることができます。

これまでは、国際理解や国際貢献といった意味が強かった外国人介護士の雇用制度。日本の介護業界の人手不足が厳しい局面に至りつつある今、日本人の担い手だけで現場をまわすことが難しくなっています。

より就労に適した制度は「特定技能ビザ」

人手不足の解消を目的とする特定技能ビザは、介護業界の未来を見据えて外国人介護士を積極的に採用したいと考えている経営者なら理解しておきたい制度です。当サイトの取材協力先であるONODERA USER RUNでは、特定技能ビザを取得した外国人介護士の雇用をサポートしています。海外に教育施設を持っており、外国人介護士の教育体制もばっちりです。

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