外国人介護士の住居

このページでは、外国人介護士を雇用する上で介護施設側が行わなければならない支援のうち、住居や住環境に関するポイントについて解説しています。これから外国人介護士を雇用しようと考えている事業者は、ぜひとも参考にしてください。

外国人を介護職員として来日させる場合は住居支援が必要

すでに日本の介護福祉士としての国家資格を取得し、日本で生活している外国人福祉士であれば、生活環境も整えられていることでしょう。しかし、これから介護業界で働いたり学んだりする外国人を日本へ迎え入れて雇用する場合、受入れ施設となる介護事業者が住居を用意しなければならないこともあります。

支援計画にもとづいた住居提供

例えば特定技能ビザ「介護」によって外国人を雇用する場合、来日した外国人が生活するための住環境を受入れ施設が用意し、さらに生活に必要な支援や日々のサポートなどを、事前の支援計画にもとづいて提供しなければなりません。

また、法律や制度によって住居提供・生活支援が定められていない場合でも、適切なサポートを行うことが望ましいされています。

社員寮や専用住居がすでにある場合

これまでに外国人介護士を受け入れてきた介護施設や、日本人の従業員のための社員寮を備えている介護事業者であれば、外国人介護士が暮らせる集合住宅などを用意しているかも知れません。

ただし、外国人介護士の支援計画として住居提供を行う場合、居室の広さなどについて条件があるため、それに合致していることが重要です。

居室の広さ(面積)は1人当たり7.5㎡以上

受入れ施設となる事業者が外国人介護士のために、支援計画にもとづいて住居を用意する場合、必ず「1人当たり7.5㎡以上の居室」を確保できる住居でなければなりません。そのため、複数の外国人介護士を同居させる場合、それぞれの人数をかけ合わせた広さの居室や必要な部屋数をそろえておくことも必須です。

なお、7.5㎡は居室のみに求められる面積であり、トイレやキッチン、浴室、玄関といった部分の面積は含まないことも気をつけてください。

新たに住居を用意する場合

外国人介護士が暮らす住居として賃貸物件を使う場合、事前に不動産会社や住居所有者と賃貸借契約を結んでおくことが必須です。

賃貸借契約は誰が行うべきか?

賃貸借契約は外国人介護士が本人名義で結ぶことも可能です。しかし、原則として介護事業者が外国人介護士への住居提供を行うことを考えれば、賃貸借契約に関しても介護事業者が賃借人となって、外国人介護士へ住居を利用させることが望ましいと考えられます。

なお、いずれの場合であっても、その賃貸物件で生活するのは外国人であると物件所有者や管理会社などへ事前に伝えて、同意を得ておくことが必要です。

特に介護事業者が賃借人となる場合、くれぐれも物件所有者や管理会社へ黙って外国人を住まわせるといったことは行わないように注意してください。

賃貸借契約の保証人には誰がなるか?

外国人介護士が本人名義で賃貸借契約を結ぶ場合、介護事業者が連帯保証人としてサポートすることが可能です。

一方、専門の保証会社を利用して保証人となってもらう場合、必要な保証料は介護事業者の負担となります。

敷金・礼金は誰が負担すべきか?

介護事業者の名義で賃貸借契約を結ぶ場合、敷金・礼金といった諸経費も介護事業者が負担します。

また、外国人介護士が本人名義で賃貸借契約を結ぶ場合、必要な住居支援を行うという観点で考えれば、介護事業者が諸経費を負担することも自然といえるでしょう。

外国人介護士紹介会社による住居サポート

外国人介護士紹介会社を通じて外国人介護士を雇用する場合、必要な住居支援についてもサポートしてもらえることがあります。

外国人介護士紹介会社による住居サポートであれば、必要な諸条件を満たしているため、そのまま外国人介護士がスムーズへ生活基盤を整えられるでしょう。あるいは、特定の国や地域を得意としている紹介会社であれば、それぞれの外国人の文化や習慣、ライフスタイルにマッチした住環境を提供できる可能性も高まります。

その他、守るべきルールや暮らし方などを現地の言語で案内してくれることもあり、利便性の高さは魅力です。

ただし、紹介会社へ住環境の整備を依頼する場合、通常料金の他にオプション費用が発生することもあります。また、費用の発生は最初だけなのか、それとも外国人が暮らす限り継続的に発生するのか、詳細を確認しておくことも欠かせません。

住居支援は外国人を雇用している期間中ずっと行う

当然ながら、外国人介護士を雇用している限り、住環境の整備・支援は継続して行う必要があります。

そのため、家賃の支払いといったコストも長期的な計画にもとづいて試算することが必要です。また、家賃だけでなく、賃貸借契約の更新料や火災保険料、その他の諸費用など、一定期間ごとに発生する費用もあるため、総合的に考えておきましょう。

日常生活に関する支援も同時に行う

介護事業者が外国人へ住居支援を実施する場合、単に物件を提供するだけでなく、実生活に必要なルールやマナーといった一般常識やエリアごとの知識についても、きちんとサポートすることが必要です。

日本の常識が世界の非常識であることも少なくない

例えばゴミの分別や出し方といった方法は、日本国内でも地域差があり、自治体のルールに則した内容を外国人へ教えなければなりません。また、騒音問題や宗教的な習慣に対する理解不足など、周辺住民との間でトラブルになりやすい点について、事前に適切な教育を行っておくことも重要です。

もちろん、海外から遠く離れた日本へやって来て、異文化の中で暮らす外国人にとって、日本人の常識に合わせることがストレスとなることもあるでしょう。そのため、定期的に外国人のストレスチェックやメンタルケアを行って、彼らが暮らしやすい環境を維持することも肝要です。

金融機関や携帯電話の手続きなども必要

水道や電気、ガスといったものの他にも、銀行口座の開設や携帯電話会社との契約、インターネットのプロバイダ契約、テレビがある場合はNHKとの受信契約といった、諸々の手続きについても適切な支援を行います。

非常時の対策についてもマニュアル化しておく

日本は地震大国であり、地域によって震度の低い地震は珍しくありません。しかし、外国人によっては小さな地震でも大きな不安を抱くことがあります。また、その他にも火事や台風の停電時、屋外での事故など、トラブルの種はいくつもあります。加えて体調不良や病気になった時の医療機関の受診方法もポイントです。

そのため、どのような場合にどこへ連絡すれば良いのか、避難所へのルートや注意すべき対策はどんなものか、あらかじめマニュアル化しておくことが大切です。

住居費を給料から差し引く場合は実費以下で

社宅や社員寮を外国人介護士へ提供している場合、住居の家賃や光熱費を給料から差し引くことは可能です。しかし、介護事業者は必要以上の費用を外国人から徴収し、経済的利益を得てはいけません。そのため、実費を超えて給料から引くことはNGです。

なお、どの程度の額を給与から引くかは、必ず事前の雇用契約で明示して、本人の同意を得た上で、毎月の給与明細でも正しく記載しておくことが必要です。