公開日:

インドネシア

このページでは、国外から受け入れ可能な外国人介護士のうち、インドネシア人をピックアップ。外国人介護士として雇用する場合に、覚えておくべきインドネシアの特徴や国民性、注意点、またインドネシアから人材を受け入れるための制度などについて解説します。

インドネシアの人材を受け入れることができる制度/条件の紹介

インドネシア

インドネシアから介護人材を受け入れる際に利用できる制度には、「EPA」「特定技能ビザ」「技能実習」「在留資格(介護)」などがあります。それぞれの違いを把握しておきましょう。

EPA(経済連携協定)

2008年7月1日に発効された「日・インドネシア経済連携協定」にもとづき、日本は介護・看護分野に関して、将来性を認められるインドネシアからの外国人介護士を受け入れています。EPAは将来の介護士を育成するという目的のもと、学習支援を行なう制度のことです。介護福祉士候補者が資格を取得できるように、学習環境の提供や研修の受講費をはじめとする必要な経費を補助するなど、様々な支援が行なわれます。

特定技能ビザ

不足する介護人材をカバーするため、一定水準以上の日本語能力と介護スキルを備えたインドネシア人に対して、介護業界での就労を目的とした特定技能ビザが発行されます。また介護士資格の取得を目指すEPA候補生から、特定技能ビザへ利用制度を移行することも可能です。

技能実習

介護業界の知識や技術を習得する目的を持つインドネシア人を、技能実習生として受け入れることができます。ただし、技能実習生はあくまでも技術習得を目的としているので、最初から実習生を労働力として考えることはおすすめしません。

在留資格「介護」

在留資格とは、日本に在留する外国人が、一定の活動を行なえることを示す「法的な資格」のことです。すでに介護福祉士国家試験に合格しているインドネシア人などに対しては、日本で外国人介護士として正式に就労可能な在留資格「介護」が認められています。

インドネシアの特徴

ASEANの盟主として日本とも連携

インドネシア共和国は東南アジアに位置する国であり、数多くの島々がまとまって構成されています。また、東南アジア諸国連合(ASEAN)の本部を首都ジャカルタに置くASEANの盟主としても知られています。東南アジアを中心とした経済拠点でもあり、日本と重要な関係性を築いている国の1つです。

その他、2019年のインドネシア政府統計によれば約2.67億人の人口規模を誇っており、そのうち約87%と国民の多くが敬虔なムスリム(イスラム教徒)であることも大きな特徴といえるでしょう(※)。

※参考元:外務省|インドネシア基礎データ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/indonesia/data.html

急速な発展と外国人労働者の送り出し

オフショア開発の拠点として、日本だけでなく世界各国から注目されているインドネシアは、現在進行形で急速な発展を続けている国です。政府も積極的に国家成長することを目標に掲げており、インドネシア人の成長や技術習得を目的として、外国への技能実習生の派遣を意欲的に支援しています。将来的な介護人材の獲得や育成を目指す介護業界にとっても、魅力的な国であると考えられるでしょう。

またインドネシアは、フィリピンやベトナムと並んで、日本と2国間の経済連携協定を結んでおり、インドネシアからのEPA候補生が注目されていることも特徴です。

国民の平均年齢が若い

2018年時点でインドネシア人の平均年齢は29歳で(※)、生産活動を行なう労働力の生産年齢人口の割合が高いことも特徴です。

加えて、インドネシアでは自分の将来について前向きに考えている若者が多いことから、新しい技術や経験を積極的に学んでいく姿勢や育ちやすい環境などに期待できます。

※参考元:外務省|インドネシアの「今」-日本・インドネシア国交樹立60周年(2018年8月時点)(https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol171/index.html#:~:text=インドネシアの平均年齢は,する新興経済大国です。

インドネシアの国民性

親日家が多い

両国の政府間の連携だけでなく、日本のサブカル文化の流入や企業間交流などによって、日本とインドネシアでは民間のつながりも強化されています。そのため、インドネシア人の中には親日家が多いとされており、日本へ留学したい・働きたいと考えている若者も多いそうです。

また、2006年からは、インドネシアの高校で日本語を第二言語として履修できるようにもなっており、東南アジア諸国の中でも日本に関心が高い国であると言えるでしょう。

多民族国家

数多くの島々が集まって構成されているインドネシアは、マレー系住民を中心に様々な民族が暮らす多民族国家になっています。そのため、公用語はインドネシア語ですが、実生活では民族ごとに異なる日常言語を使い分けており、国内で数多くの言葉が飛び交う環境にあることが特徴です。

このような環境から、インドネシア人は新しく人間関係を構築することに慣れていることが窺えます。日本人とも良好な関係を築くことが期待できるでしょう。

人道主義と民主主義を大切にしている

多民族国家であるインドネシアは、かつて国内統一に向けて様々な問題や事件を抱えてきた歴史を持っています。そんな背景があるため、現在はあらゆる民族が連携して国の基盤を構築していくことを目指し、人道主義や民主主義が重視されています。

これは、為政者や政党が変わっても社会通念として浸透しているものであり、教育現場や労働環境においても重視されている考え方です。

インドネシア人との信頼関係を築くためには、互いに敬意を払って、相手のことを尊重することが重要になるでしょう。

インドネシアの宗教や文化

世界最大のイスラム教国家

人口規模の大きいインドネシアは、同時に国内のムスリム人口が世界最大であることも特徴(※)です。イスラム教のインドネシア人にとっては、ムスリムの文化や宗教観について理解してもらえているかという点は、大切なポイントとなるので、そのことを念頭に置いておくようにしましょう。ムスリムについて勉強しておくこともおすすめです。

※参考元:外務省|最近のインドネシア情勢と日・インドネシア関係(2020年9月時点)(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/indonesia/kankei.html

信仰の自由も認められている

インドネシアはイスラム教徒の多い国として知られていますが、一方で国民に対する信仰の自由も認めており、ムスリムではないインドネシア人も少なくありません。

インドネシアの特徴として、国民に唯一神への信仰を第一原則にするというルール(パンチャシラ)がありますが、これは必ずしもイスラム教を強制しているわけでなく、どの宗教を信仰するかは国民の選択や個々の家庭の考え方に任されています。

そのため、インドネシア人だからといってムスリムだと決めてかかることは止めましょう

なお、無神論はインドネシアにおいて違法とされているので、日本人の宗教観でインドネシア人の信仰に接する際は注意してください。

介護現場で気を付けたいこと

言語とコミュニケーション

インドネシアでは日本語について来日前から学んでいる人も多く、日本人とのコミュニケーションについても比較的に安心感があります。ただし、日本語でのコミュニケーションに慣れていない方も少なくありません。コミュニケーションを取っていくためには、「伝わっているだろう」と思い込まず、積極的に交流していく姿勢が大切です。

またインドネシア人の英語力は日本人と同程度だと考えられています。言語能力には個人差がありますが、日本語や英語でのコミュニケーションが困難な場合に備えて、意思疎通の方法を事前に考えておくことをおすすめします。

労働環境の構築

インドネシアでは、最低賃金が保障されている、ムスリムの宗教行事について企業が配慮している、など国民の人権や自由を尊重する傾向が強い国です。日本の文化や商習慣を理解してもらうことは大切ですが、一方的に過酷な労働や低賃金などを押しつけることは、インドネシア人からの信頼を失う大きな要因となる可能性があります。

外国人介護士を雇うと決めたら雇用制度を知ろう

インドネシア人を外国人介護士として雇用する場合、どのような在留資格や来日制度を活用すべきかを、受け入れ体制の整え方と合わせて検討することが大切です。

まずはインドネシア人を日本で就労させる場合の雇用制度について正しく理解した上で、インドネシア人介護士との信頼関係を築いていきましょう。

関連ページ

いちからわかる外国人介護士OMOTENASHI導入ガイド

受け入れ可能な外国人介護士の国と国民性を分析
ミャンマー
タイ
バングラデシュ
ネパール
ラオス
ベトナム
カンボジア
スリランカ
モンゴル
マレーシア