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介護業界は「人材不足」が深刻な問題となっています。しかし、なぜここまで人材が不足するのでしょうか。この記事では、介護業界の人材不足の原因と実際に現場で働いている人の声などについてまとめました。
介護業界は人材不足が大きな問題となっています。そこでさまざまなデータを交えながら、人材不足の原因を見ていきましょう。
内閣府の「高齢社会白書(平成30年版)」によると、日本の高齢者(65歳以上)は3515万人。この数は日本の全人口のうち27.7%、すなわち「4人に1人が高齢者」という現状を表しています。今後はさらに少子高齢化が進み、より人材不足の加速が懸念されます。
介護業界は、他の業界に比べ給与が低い点も人材不足の原因です。人が集まらないばかりか、給料の低さから離職を考える職員も。介護労働安定センターによる「平成30年度「介護労働実態調査」」によると、「仕事内容のわりに賃金が低い(39.1%)」という声も見られます。
ただ、賃金・賞与額は増加傾向にあるようです。さらに政府では、勤続年数10年以上の介護福祉士に月額平均8万円の処遇改善を行う案を閣議決定。ただし、この案は支給対象があまり多くないという問題も指摘されています。
介護業界への「ネガティブイメージ」の影響もあります。
リクルートキャリアによるプロジェクト「HELPMAN JAPAN」で行われた介護職非従事者の意識調査(2019年7月調査)では、介護職への就職をためらう理由として「体力的にきつい仕事の多い業界だと思うから(49.8%)」と、「精神的にきつい仕事の多い業界だと思うから(41.8%)」が挙げられています。
ただし、ユニットケアやITの導入、外国人介護士の受け入れなどにより、労働環境の改善を図る事業所も多いようです。
「離職率が高い」といわれる介護業界ですが、実際はどのくらいの割合の職員が離職しているのでしょうか。
公益財団法人 介護労働安定センターの調査「平成29年度 「介護労働実態調査」」によると、介護現場における離職率は、16.2%(介護職員・訪問介護員の合計)となっています。全体でみると、前年度よりも0.5ポイント低いという結果になっています。
また、職種別に離職率を見てみると、「介護職員」の場合は正規職員で14.3%、非正規職員で20.6%となっており、非正規職員の方が離職率が高い傾向があります。また、「訪問介護員」の場合は正規職員の離職率が17.0%、非正規職員は13.8%となっており、正規職員の方が離職率が高い、という結果になっています。
それでは、実際に介護の現場で働いている人の声を見てみましょう。どのコメントも、人手が足りない、という切実な現場が見えてくるようです。
疲れ切って仕事が終わってもどこにも行けない
特養で勤務しています。パートの方もいて人数も少なく早番で残業して19時までの勤務や、夜勤明けで残業などが当たり前です。人数の基準足りてるのかな?とも思いますし、仕事が終わってもどこにも行けません…。転職しようかと考えています。
人手不足で退職を考えている
うちも全然足りなくて日勤からの夜勤、そのまままた日勤などのシフトを強いられています。断ると「ひどいね」などと中傷され、働きにくくなります。募集も何社もかけてもきません。なのでもう辞めようと思います。ですが、辞めるのも引き止められるので、飛ぶしかありません。
人手不足が本当に深刻
本当に切実に人手不足です。地域密着特養の主任兼介護支援専門員をしています。昨年度は採用1人入ってきたのみで直ぐに辞めました。今年度は、新卒1名採用のみ。私も介護支援専門員兼任していますが、現場の人が足らず早出と遅出とほぼ一般介護業務に従事しており本来の介護支援専門員業務も疎かで、職責すら果たせておりません。
この記事で説明してきたように、介護現場における人材不足は非常に深刻なものと言えるでしょう。
ギリギリの状態で回せていたとしても、いつ事故が起こってしまうかわからない状態は改善する必要があります。このような状況を改善するための方法はさまざま考えられますが、その中の一つとして「外国人介護士の受け入れ」がカギとなってくると考えられます。これからは、外国人介護士の受け入れを含む、介護の現場における人材不足の対策に講じることが急務ではないでしょうか。
またこのサイトでは、外国人介護士の教育から雇用まで一貫してサポートを行うONODERA USER RUN協力のもと、現在の介護市場の状況や外国人介護士の雇用制度についてまとめています。今すぐにでも外国人介護士を採用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。