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コラム9:介護の人材不足におけるマネジメント

介護業界において外国人介護士に対するニーズが高まっている理由として、日本人介護士の離職による人材不足が挙げられており、根本的な問題解決を考えるのであれば適切な人材マネジメントによって、離職率を低下させながら、魅力的な介護人材を積極的に活用していくことが必要となります。

そこで、ここでは介護人材に対するマネジメントの重要性や具体的な方法論について、わかりやすく解説しています。

人材マネジメントとは?

適材適所の人材管理で労働意欲を活性化

人材マネジメントとは、適材適所の人材配置によって従業員の有効活用を目指す人材管理の中でも、特に労働意欲や仕事へのやりがいを高めることをテーマとした雇用管理の考え方であり、方法論です。

人材マネジメントに不備があれば人材の離職を防げない

給与や福利厚生といった待遇面に不満があれば、当然ながら従業員の離職率を低下させることはできません。同時に、待遇面では満足していても、仕事の内容や職場に対して愛着心がなかったり、同僚や上司との間で信頼関係が構築されていなかったりすれば、他により良い雇用条件があった途端に退職されてしまうことが想定されます。

そのため、人材マネジメントを適切に行いながら、従業員の会社に対するエンゲージメントを高め、職場で働く人々の間に信頼関係を構築させておくことが、介護士の離職率を軽減させるために必須のことといえるでしょう。

※参考資料:兵庫県立大学|瀧本稚子「介護職員の人材マネジメントの相方に関する研究」(https://www.u-hyogo.ac.jp/mba/pdf/SBR/6-3/123.pdf

魅力的な人材の採用には人材マネジメントの意識が重要

人材マネジメントがきちんと実施され、そこで働く人々の意識が高まっていると、すでに雇用されている従業員にとって働きやすい環境が整えられるだけでなく、新しい人材にとっても働いてみたいという気持ちが生じます。

また、現代はSNSやネットの口コミなどで労働環境に対する口コミや噂が広まりやすい時代になっており、実際に働いている従業員の人材マネジメントへ取り組むことが、有益な人材採用のチャンスを広げてくれることは重要です。

介護業界ならではの人材マネジメント

ポジティブな意識改革

介護業界における人材不足は深刻な問題であり、さらに介護職に対する大変そうだとか給料が安そうといったネガティブなイメージは、介護士や介護人材を確保する上で大きなマイナスポイントです。

しかし、それでも誰かの役に立ちたいと高い意識を持って介護業界へ就職してくる人もおり、そういった人々が誇りと自信を抱いて働けるように、ポジティブな意識改革や明るい環境づくりを進めていくことも欠かせません。

職員の本音やニーズと向き合う

前向きな気持ちを抱いて介護職員としてデビューしても、実際に業務内容が過酷だったり、思っていたよりも活躍の機会がなかったりと、働きながらモチベーションが低下してしまうこともあります。

そのような時、施設長や上司、主任/リーダーといった責任者がきちんと部下の状態に気づいて、多段階的に適切なケアをすることが必要です。

人材の能力に見合った活用と育成支援

人材管理では従業員の能力や特性を把握した上で、適材適所の配置が重視されますが、一方でいつまでも同じ仕事をするだけでは成長がありません

やりがいや達成感といったポジティブマインドは、挑戦や努力と切り離せない関係でもあり、従業員が新しいことへ挑戦できる環境を支援し、スキルアップを目指していける職場の雰囲気を生み出していくことも方法論の1つです。

※参考資料:兵庫県立大学|中濱堅作「介護業界における人材確保-介護職の職能意識からみる定着率向上への取り組み-」(https://www.u-hyogo.ac.jp/mba/pdf/SBR/6-3/147.pdf

外国人介護士といった採用範囲の拡大と活用

現実問題として、介護業界では介護施設などが人材募集に取り組んでも、なかなか成果が出ないことも珍しくありません。また、最初から働きたくない人を無理矢理に採用しても、いずれ離職していく可能性が高くなります。

そこで、自分から日本の介護現場で働き、自身のスキルアップへつなげていきたいと考えている、外国人介護士を活用することも経営戦略として重要です。

外国人介護士のマネジメントには相互理解が不可欠

外国人介護士の人材マネジメントを行う場合、外国人ならではの習慣や考え方をきちんと理解しつつ、日本の商習慣や文化について溶け込んでもらえるよう支援することも欠かせません。

母国を遠く離れて日本で暮らしている外国人介護士に対しては、日常の業務面だけでなく、メンタル面や健康面でのケア、さらに人間関係を円滑にするサポートなども人材マネジメントとして重要なポイントであり、相互理解にもとづいた取り組みを実施することが大切です。

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